マスコミは本当にインボイスについて報道しなかったのか
インボイス反対署名が36万筆を超え、先日4日に財務省に提出されました。 nordot.app このインボイスをめぐる報道に関し、マスコミは全然報道しなかった!という意見が散見されます。
本日の「インボイス制度の中止・延期を求める緊急提言記者会見」で目を疑った出来事。
— 犬飼淳 (@jun21101016) 2023年9月4日
これまで会見に全く来なかったテレビ局が勢揃い。(NHK、日本テレビ、テレビ朝日、テレビ東京、TOKYO MX等)
あとは【10月1日の前】に【導入根拠はなく、ただの増税】という本質と共に放送するかに注目します。 pic.twitter.com/sfZZHjDcCl
「○○という問題についてマスコミは報道しない!」という批判はよくあることです。 本当はマスコミもちゃんと報道しているのに、観測範囲の問題でたまたまそのひとの目に入らなかったり、あるいは単にこれだけの報道量では足りない!もっと注目してほしい!という意味でこのような批判がなされたりします。 インボイス制度なんていう世の中が大きく変わる重大問題、本当にマスコミはちゃんと報道しなかったと言えるのでしょうか?
という訳で簡単に検証してみました。
今回は新聞についてのみ調べます。調査対象は以下の四紙です。
本来は五大紙ということで産経新聞も含めるべきだったのでしょうが、WEBサイトからの記事検索結結果が100件までしか取得できなかったので除外しました。
「報道している/していない」は相対的な問題ですので、他のニューストピックに対し"インボイス"がどれほど記事内に含まれていたのかをチェックします。比較対象となるニューストピックは何がいいかな……
お、読売新聞の検索画面には「よく検索されるキーワード」のサジェストがありますね、優秀!こちらの一覧を比較対象として使いましょう。 また、「インボイス」の他に「報道されない!忖度だ!」と批判されたキーワードで最近のものですと「ジャニー喜多川」があります。こちらも合わせてベンチマークとして使用します。
これで大体方針が決まりました。上記全国紙四紙で、2022年9月1日から2023年9月1日の一年間における以下の各キーワードを含む記事数を計上し、比較します。比較対象となるキーワードを含む記事数に対し、「インボイス」を含む記事数が十分に少なければ「マスコミはインボイスについて報道しなかった!」と堂々と言えますね。 対象となるキーワードは以下の通りです。
では結果をどうぞ。まずは表から;
読売新聞 | 朝日新聞 | 毎日新聞 | 日経新聞 | |
---|---|---|---|---|
インボイス | 24 | 57 | 58 | 136 |
ウクライナ | 5741 | 8721 | 11000 | 8437 |
大谷翔平 | 959 | 585 | 2200 | 638 |
処理水 | 502 | 682 | 1200 | 513 |
チャットGPT | 381 | 661 | 700 | 948 |
マイナンバー | 511 | 879 | 900 | 595 |
竜王戦 | 875 | 156 | 400 | 17 |
ジャニー喜多川 | 63 | 179 | 200 | 37 |
ん……
ん~~……なんか桁が……
ちょっとピンとこないのでグラフにしてみます。
すごい、ウクライナが圧倒的ですね!!ウクライナ関連記事数に比べたら他のキーワードがかすみます。 この一年間、日本の新聞は他のキーワードを全て合計したよりも多くウクライナについて報道していました。
この状態では他のキーワードとの関係が分かりづらいので、ウクライナを除外します。
おおお、これはすごい……「インボイス」がほとんどグラフ上に見えません……! ウクライナを除外すれば、全国紙はおおよそ大谷翔平選手のことを話題にしていました。その他のキーワードについては各紙の個性が出ていてなかなか面白いですね。例えば読売は大谷翔平選手に次ぐくらい竜王戦のことを報道しており、競技系の話題に関心が高そうなところが伺えます。また、朝日新聞や毎日新聞はマイナンバーや処理水のことを話題にしているのもそれらしいですね。 日経はさすが硬派で、チャットGPTが首位に来ています。また、他紙にくらべてさすがにインボイスを話題にする件数も多いですね。
……さて、この結果を見る限りではインボイスは「ウクライナ」はおろか「竜王戦」ほども話題にされておらず、忖度報道が取りざたされた「ジャニー喜多川」より更に報道されていないことになります。やっぱり忖度なんだろうか……?財務省と軽減税率は強し、ということなんでしょうかw
ちなみにこの結果が「みんなに関心がなかったからマスコミが報道しなかったのでは?」という話はちょっと違ってて、以下はGoogleトレンドの結果です。
この通り「インボイス」は時期によっては「ウクライナ」より検索数が多く、全期間を通じて決して他のキーワードに比べて読者の関心がなかったキーワードではありません。
何にせよ「マスコミはインボイスについて全然報道しない!」という批判は正しかった、ということになります。疑ってすみませんでした。
当ブログでは消費税撤廃を応援しております;P
*1:すみません、Google トレンドがうまく埋め込み表示されないようなのでここにURLを置きます。見られない場合はこちらからご確認ください。