エルの楽園

Twitterで垂れ流すには見苦しい長文を置きます。 あ、はてな女子です。

1/12-1/13にかけて呑んだお酒の覚書

たくさんの種類を呑んだのだけれど、特に印象に残ったお酒を忘れないようにメモしておく。幸い今回は記憶もあるし。

 

宮城 新澤酒造「残響 Super9」

はせがわ酒店・亀戸本店にて。伯楽星で知られる新澤酒造さんの超・大吟醸。精米歩合9%というから凄い。そこまで精米したら米じゃないだろう心白砕けるだろう粉末だろうと思ったのだけれど案の定本当にそうなるらしく、付属の冊子には粉末と化した米をどうやって糠と区別するか、どうやって醸して絞るかなどの苦労話が切々と綴られており、どこから突っ込んでいいか非常に困った。四合で2万円のブツらしい。手間賃的にはそうなるわね。

お味は思ったよりストロングな風味で、舌先でなく喉で味わう感じ。喉の奥の方に味が広がるタイプなんだけれど後味の悪さは全然なくて美味しかった。もちろん辛くないし吟醸らしい呑みやすさはある。むしろいくらでも呑める系。

でもこのお値段でもう一度呑みたいかと言われると言葉に詰まる。話のネタに人生で一度は呑んでおいた方がいいと思うけれど。

 

山形 酒田酒造「上喜元 純米吟醸 出羽燦々50 太古米」

同じくはせがわ酒店・亀戸本店にて。出羽燦々という文字列を見たらとりあえず呑むことにしているんだけれど、幸い世の中にそれほどある訳じゃないのでなんとか人生が回っている。

なんだか出羽燦々とは思えない味だった。馥郁とした甘い風味が上口蓋に広がり、暖かな花のよう。もちろん喉を過ぎた行儀の悪い後口は全然ない。味の広がり方が珍しくて唸りながら呑んでしまった。

太古米ってなんだろう?普通の出羽燦々じゃないの?と思っていたら、太古活性農法という特殊な農法で栽培された米らしい。でもそれでこんなに味が変わるものなのかな。もしかしたら自分の記憶違いで出羽燦々って元々こうだったっけ??まぁいいや、さらなる探求、つまり出羽燦々がもうちょっと必要。

 

秋田 NEXT5「ECHO2012 純米吟醸生酒」

@hazy_moon さんからのおススメ。NEXT5については本稿は触れないが、なるほど秋田酒造業界のプライドがかかったお味。洗練された涼やかな、和三盆を彷彿とさせる甘みが広がり舌全体を支配する。

日本酒にはそれ単体で呑む者の官能を支配する圧倒的な旨みをもつタイプと、食べ物とのマリアージュによって真価が発揮されるタイプがあるけれど、これは間違いなく前者。でも味がうっとおしいという意味じゃなくて呑みやすい。ただひたすらに美味しい。何も食べる気にならなくなるけれど、あえてフードを合わせるならこれにはカッテージチーズや干菓子や上質なミルクガナッシュあたりをおつまみにするのがいいんじゃないかなぁ。

辛口派からはこんなの日本酒じゃないと言われてしまうかもね。でも鳳凰美田とこいつには何されてもいいと思ってしまうの。鳳凰美田よりは甘くて上目遣いで間合いに入りこちらを哀れな木偶人形にする小悪魔タイプかな。

 

秋田 新政酒造「新政 県内限定別誂 ヴィリジアンラベル 純米吟醸」

@hazy_moon さんからの貢物。実はNEXT5との2択を迫られたのだけれど、こっちは秋田の外では買えないからこっちをチョイス。

なんかもう美味しい以外の言葉がないね。上口蓋に広がる風味と熟れた樹を思わせる香りが独特。それなりに辛さはあるのだけれど、それ以上に吟醸らしからぬ濃厚な風味が雲のように口蓋に満ちる。あれ、でもそういうのって製法上返って吟醸らしいと言えるのか?ちなみに当然のように喉から下の嫌らしい後味はない。格の高さを感じる味わい。

ちょっと変わった味のお酒ではあるから、普通の吟醸感覚で白身のお刺身などに合わせてしまうとちょっとつらいかも。鍋はOK。あと温燗だともう一化けするかもしれない。

 

高知 西岡酒造・四万十山間米組合「純米吟醸 無濾過 山間米」

@canna さんたちと一緒に。高知のお酒は辛口という印象があったんだけれど、たしかにそのイメージを裏切らない辛口の吟醸。といってもそれほど辛い訳ではなく、吟醸らしい優しい甘さはあるんだけれど、それでも口に含んだ時にしっかりとした辛さの主張があって微笑ましかった。

上品ですっきり、清潔感があって潔い味。実は個人的にはもう少し甘いお酒が好きだからそういう意味では好みでなかったけれど、でもパーティーの時なんかには1本用意しておいてもいいかもね。対応範囲が広がる。美味しいのは美味しいです。とてもきちんと作ってある。

昔ながらの日本酒党や料理との組み合わせを考えたら文句なしのお酒。酒盗や鰹の叩き、サーモン等の脂の乗った魚、各種チーズと相性抜群だろう。

 

さてここで日本酒は終わり。次はハードリカーの項。

 

ポーランド Apis「ヤドヴィガ」

新大久保のBar Chloeさんにて。ポーランドミードの傑作。ミードを呑むのは初めてだったのでとっても楽しみにしていた逸品。冬らしくお湯割りで。

想像していた通りとても幸せな甘いお酒。どこか薬湯のような風味で身体によさそう。梅酒をもっと濃厚に甘くして甘みを洗練させたらこんな感じになるのかな?でも梅酒みたいに身体が冷える感じはしない。暖まる。冷えた夜に素晴らしく合う。冬場は毎日呑みたいレベル。

 

アイラ・モルト モリソン&マッカイ「カリラ ワールドワンダーズ1983」

同じくBar Chloeさんにてご秘蔵を出して頂いた。カリラはカリラなんだけれども、ことさらスモークのにおいが凄い。口の中がすっきりと燻される。ハードリカーを呑みつけないので味を全部拾えなかったのは残念だけれど、複雑な味わいのバランスがとてもよくて個性的、まさにイデアールなアイラなんじゃないでしょうか。

実に結構な逸品だったのだけれど、これはもっとアイラを愛するひとが呑むべきだと思うの。わたしの舌では役者が全然足りてない。美味しいのにちゃんと味わえてなくて申し訳ありません感が半端じゃなかった。もっと勉強したいと思います。

 

ハイランド・モルト ザ・マッカランカスクストレングス」

同じくBar Chloeさんにて。さっきのカリラで落ち込んだ舌には嬉しいマッカランで、さらにこのカスクストレングスは目の覚めるほど甘く花のようなテイスト。まさにイデアールなマッカラン(ry 

でも本当にこれはイデアールなマッカラン。美しいアルマンディンガーネットのような色にグラスの周囲にふんわりと漂う花の香り、口に含むとまさに蜜から練成されたよう。ぜひ今の季節に極上のショコラと共に味わいたいですね。あ、でも春にゴテゴテのフルーツケーキと併せてもいいかも。マッカランとショコラ、ドライフルーツの組み合わせは鉄板ですからね。

 

Bar Chloeさんは実に素晴らしいハードリカーコレクションとオーナーのアネモネ様のイラスト付きテイスティングノートが秀逸なので、ハードリカーガチ勢はぜひ行くべき。テイスティングノートの出版を心より祈念しております。