エルの楽園

Twitterで垂れ流すには見苦しい長文を置きます。 あ、はてな女子です。

職業議員の終焉

議員とかいやだ。どいつもこいつも保身のことばかり。議会は政策討論ではなく足の引っ張り合いとスキャンダル追及の場に成り下がっている。

選挙ももういやだ。代わり映えしない上っ面ばかりの候補者。名前をがなりたてるだけで情報量のひとつもない、うるさい選挙カー。なにひとつ変わらない世界。

 

選挙で世界が変わらないのにはいくつか理由がある。議員はそういうお仕事だから、どんなに情熱に燃えている理想家でもその理想をつらぬける人はごくわずかだ。うまくやらないと次の選挙で落ちて、失職してしまう。

また、議員は一部のかぎられた特質を持つひとしかなれない。人気がある人。性格がよさそうな人。出馬できるだけのお金がある人。五体満足で健康な人。前科のない人。大学を出ている人。性格がいじけていて友だちがおらず、うつ病で、生活保護を受けているような人は議員にはなれない。そんなひとには誰も投票せず、選挙で勝てないからだ。

つまり、議員は市民全体の代弁者でも代表者でもない。現行のような選挙で議員をえらんでいる限り、おなじようなひとばかりが議員になりつづける。こうして金太郎飴のように元気であかるくコミュ力のたかい人だけが議会で発言する権利をもちつづけ、そうでないひとたちは社会のすみへ追いやられていく。

 

これらの問題は現行の間接民主制自体が抱える構造的な問題だから、どんなに素晴らしい人が議員になったとしても、その人がどんなに努力してくれたとしても解決できない。この構造それ自体を変えるしか解決の方法はない。

 

わたしは議員選びに、選挙ではなく裁判員のようなランダム抽出法を提案する。もちろんさいころを投げるようなイイカゲンなランダムではなく、統計的に偏りがないよう注意深く調整されたランダム抽出法だ。日本人の有権者全員のところにある日いきなりランダムで議員の任命状が届き、1年間議員をやるのだ。

すでにほかに仕事があって議会に行けないかもしれないけれど、電子投票制度をついでに推し進めれば遠隔でも投票できるので問題ない。議会に参加しないと政策議論ができないかもしれないけれど、そんなのはチャットでもできるんだし、大体いまの議会ではすでに政策議論なんかやっていないんだから問題ない。

 

立法は政策シンクタンクや市民参加の政策市場などを推進すればなんとかなるだろう。大体、今だって実際にコツコツ法案を書いているのはほとんど官僚なのだ。議員は粛々と投票に徹する方が効率的だ。

(追記: このアイデアは政策議論や調査を行い立案するひとと、実際に意志決定するひととの分離を目指したものです。民間企業では意志決定者と情報収集者、プランナーは通常別なので、そういうやり方を念頭においています)

 

もちろん大臣などの要職までランダム抽出とはいかないだろうから、内閣は現状を踏まえた選挙でもかまわないと思う。

 

今まで政治家をやっていた人たちは、あたらしい社会では思想家、市民運動家、アジテーターとして活躍するのがよいだろう。もともと社会への理想があったから政治家だったのだろうし、議員をランダム抽出する方法であれば自分の思想に賛同してくれる人を議会に送り込む機会も充分にある。市民への啓蒙活動にいそしむ方が、赤坂の料亭で腹芸をやるよりもはるかに建設的だ。

 

 

長文を書いてしまったから、以下にダイジェスト代わりの仮想FAQを置く。;

 

Q. 議員をランダムにえらんだら、ヘンな人が議員になってしまうのでは?

A. 現状、既にヘンな人が議員になっています。問題ありません。

 

Q. 政治が素人集団になってしまうのでは?

A. 現状、既に素人集団です。問題ありません。

 

Q. 議員が利己的な人ばかりになってしまうのでは?

A. 現状、既に利己的な人ばかりです。問題ありません。なお汚職や贈収賄等に対しては、今までどおり(?)発覚し次第厳しく処罰します。

 

Q. ふつうの人が議員になると、生活に負担がかかるのでは?

A. 裁判員に対する程度の社会的配慮は必要でしょうが、基本的には空いた時間に電子投票してくれればよいだけなのでそう問題はないでしょう。

 

Q. 政策議論が不足するのでは?

A. 現状すでに不足しているので問題ありません。また、多様な人が事前に議論して意見をすりあわせることなく投票したほうが結局はよい結果になるとの研究結果もあります。

「みんなの意見」は案外正しい (角川文庫)
「みんなの意見」は案外正しい (角川文庫)
posted with amazlet at 12.07.02
ジェームズ・スロウィッキー
角川書店(角川グループパブリッシング)
売り上げランキング: 12337