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エルの楽園

Twitterで垂れ流すには見苦しい長文を置きます。 あ、はてな女子です。

日本酒は水で薄めて飲んでいい

現在、趣味と実益を兼ねた日本酒普及企画に関わっている。美酒の名産地である福島のお酒とおつまみを毎月1セットお届けするというもので、おつまみはそれぞれのお酒の醸造元に選んで頂くのだ。わたしは福島の日本酒の飲みやすく香り豊かで味のバランスがとれているところをここ10年近く愛しており、本当に願ったりかなったりの企画である。ようやく一般公開の運びとなり、ここ3か月ほど週に5本の酒を飲み続けた甲斐があった。

本日からクラウドファンディングでこの企画の出資者を募集しているけれど、実のところ資金集めというよりプロモーションの意味合いが大きいので、個数限定ながら原価割れでリターンを提供している。日本酒にご興味のある方はこの機会にぜひどうぞ。

https://www.makuake.com/project/f-sake/


さて、本企画が一般にお披露目された記念に、この記事では日本酒が苦手なひとやアルコールに弱いひとにもお酒を楽しむコツをいくつか紹介する。
まず一つ目は「日本酒を水で割る」というものだ。


そもそも日本酒は絞りたての状態で、アルコール度数が20%程度になっている。この状態のものを「原酒」といい、これで出荷されるものも一部にはある。しかし大半は「割り水」といって原酒に水を加え、アルコール度数15%程度にして出荷されている。
水を加えてアルコール度数を下げる理由はその方がより飲みやすいからであり、どのくらい水を加えるかは各酒蔵のセンスや価値観による。基本的には各酒蔵で一番おすすめの濃度になっているのだが、アルコールが苦手なひとは更に自分で飲める度数まで水を加えても構わない。
今でいう清酒が一般的になる前、日本酒がほぼすべてどぶろくみたいな醪を潰すだけの製法だった頃は「練酒」と呼ばれていた。それを飲む場合、自分で好きな濃さに水を加えて飲むのが通例であり、大体5%程度にまで薄められていたと考えられている。日本酒の歴史をふりかえっても、水割りで飲むのは伝統に基づいた味わい方なのだ。梅酒をソーダで割る感覚で、濁り酒をソーダで割ってみるなどといった飲み方も面白い。

水を混ぜるのがどうしても気が引ける場合、水を飲みながらお酒を飲むと良い。醸造酒の場合、酒の体積の2-3倍の水を飲みながら飲めば二日酔いは回避できるとされている。日本酒の場合こうしたチェイサーは「和らぎ水」と呼ばれる。たまに「ウィスキーは大丈夫だけれど日本酒やワインは頭が痛くなる」というひとがいるが、大抵彼らはチェイサーを飲んでいない。蒸留酒に慣れていると醸造酒のアルコール度数が低く感じられ、チェイサーを飲む意義が感じられなくなるのだろうが、こうしたハードリカー専門の酒飲みほど意識的に水を飲んでいく必要がある。

どちらのやり方で水を取り入れるにしろ、お酒の味を損なわないためには軟水を選ぶとよい。日本の水道水は大抵軟水だが、ボトルドウォーターを飲む場合はサントリー南アルプスの天然水』が硬度30程度と一般に市販されている水の中では最も柔らかい。


次のコツは器の選び方だ。お酒を飲む器によっても飲みやすさが大きく変化する。お酒は飲めるものの日本酒が苦手、というひとの場合、器を変えると飲める可能性が上がる。
一般的に日本酒を飲む場合、背の高く細いグラス、あるいはぐい飲みで飲む場合が多い。しかしこうした背が高く口が狭い器はお酒が空気に触れる面積が少ないため、日本酒独特の柔らかい香気を十分に感じられず、ただ揮発したアルコールのツンとした臭いが鼻につく恐れが高い。日本酒に空気を含ませるためにワイングラスを推奨される場合もあり、事実ワイングラスが向いたお酒もあるのだが、大抵日本酒の方がワインよりも香りが強い。したがってワイングラスだと匂いがやや強すぎる場合もある。

個人的には日本酒にもっともお勧めの器は平盃である。よく結婚式の三々九度などに用いられている、赤い平たい丸いアレだ。飲み口が広く空気にしっかりお酒を触れさせられるので、お酒の香りを引き出し、かつ匂いがこもらない。また薄いのでお酒を入れすぎることもなく、ゆっくりしたペースでお酒が飲める。特に燗酒の場合、平盃で飲むだけでお酒のグレードが2つは上がるくらい風味が改善される。
これは長野・佐久乃花酒造さん直伝の秘策である。器を変えるというただこれだけの工夫で日本酒が劇的に飲みやすくなるので、日本酒の風味が苦手というひとにお勧めだ。平盃を持っていない場合、醤油皿のような平たい小皿でもほぼ同じ効果が得られる。騙されたと思って一度試してみてほしい。

平盃には漆器やガラス製、陶器製など色々あり、好みで選ぶと楽しい。豆鉢感覚でついつい集めてしまう。酒器を揃えるのもまた日本酒の醍醐味だ。


最後は食べ物との組み合わせ方だ。合わせる食べ物との組み合わせ次第でお酒の味は劇的に変わる。ワインでは「マリアージュ」と呼ばれているが、単体で飲んで美味しいお酒も特定の食べ物と組み合わせると「????」といった味になったり、また単体では飲みにくいお酒もある食べ物と組み合わせるとスイスイと飲めてしまったりする。一般的には刺身やクリームチーズなどといったものが日本酒に合うとされているが、ヨーグルトやピザ、キムチ鍋やトンカツに合う日本酒だってあるのだ。
日本酒と一口に言ってもその味のバリエーションは広く、日本酒だから必ずこの食べ物が合うとは言えない。また特定の食べ物に合う日本酒が存在しないとも言い切れない。いつも飲んでいるお酒の味がおつまみ次第で劇的に変わるのも、また初めて飲むお酒に合うおつまみをあれこれ試すのも面白い。
何にせよ、お酒が苦手な場合は少量でも何か食べ物を口にしながら飲むとよい。自然とペースが抑えられるので急激に飲みすぎることがなく、また口の中の味がリセットされて飽きずに楽しめる。冷奴や茸のおひたしなどを用意すれば、油脂も肉も使わない低カロリーなおつまみとして楽しめる。野菜だけでサッとおつまみが作れるのも日本酒のいいところだ。


日本酒の楽しみ方に正解はない。嗜好品なのだから、自分が美味しく楽しめればそれが一番なのだ。
ただ、自分が一度飲んで美味しいと思ったお酒と似た味のお酒を探せる程度の知識があればより地雷を踏む確率が減るので、機会があればそのための情報も公開したい。


この日本酒定期購入プロジェクトでは初心者でも飲みやすい味の物を中心に選ぶつもりなので、これを機に少しでも日本酒愛好者が増えてくれると嬉しい。ぜひ、皆様も日本酒をより楽しめる工夫を教えてくださると幸いです。

訪日観光客は日本になんか来たくない

ギョーム関連の愚痴だからギョームブログに書くべきなんだけれど、でも今のタイミングだと特定の誰かへの当てこすりととられかねないのでこっちへ。

 

中国から日本にやってくる観光客は別に日本に来たい訳ではない。彼らは「手軽に行けて、品質表示に偽りのない家電や化粧品やファッションブランドの正規品がたくさん売られていて、便利で清潔で安全で、色んな遊び場があってそこそこ楽しくてオシャレな街」に遊びに行きたいのであって、そこが日本である必然性はない。彼らに「日本の伝統的な魅力」とやらを訴えても響かない。そもそもリーチしない。順番が逆なのだ。

日本のアニメを見る外国人は日本のアニメを見たい訳ではない。彼らは「等身大の主人公による深みのあるストーリーが描かれた、大人の鑑賞にも耐え得るような作画と演出のよい、面白くてちょっとエキゾチックな映像作品」を見たいのであって、クールジャパンとかどうでもいい。彼らの求めるものが日本以外で製作されたところで、すぐにそんなこと気にもされなくなる。

図書館を必要とするひとは別に図書館に来たい訳ではない。彼らは「タダで新刊の小説が読みたい」とか「就活で効果を発揮するエントリーシートの書き方を知りたい」のであって、図書館よりも更に便利でお手軽な解決策があるならばいつだって喜んでそれを選ぶ。この話は以前「図書館を真に必要とするひとは "図書館" なんていう単語でググらない」という文脈で書いたことがあるけれど。

 

自分の売りたいモノをオシャレなパッケージで包み、麗々しい釣り書をつけることを「ブランディング」だと思い込んでいる輩に付き合いきれない。ブランド力というものは、顧客の要求に応え続けてきた結果つくものだ。「俺の売っているこれはこんなに手間暇かかっている素晴らしい物なんだからお前はカネを払って当然だ!!」などというメッセージをダラダラ伝えたものを「ストーリー」とか、ましてや「顧客はモノではなくストーリーを欲しがっているんだ!」なんて主張されるのにはもううんざりだ。

ヴィトンやエルメスがブランドたり得たのは、彼らが「モノ作りのストーリー」とやらを喧伝したからではない。ただ彼らは「どんなシーンにも持って行けるほど高級感がありエレガントで、かつ使いやすく作りがしっかりしており、アフターケアも万全な長く使える革のバッグが欲しい」という顧客の声に応え続けただけだ。ヴィトンやエルメスを高級ブランドだと認識しているうちの何人が、彼らの「モノ作りの歴史と姿勢」とやらを知っているというのか?

 

クリステンセン先生がありがたくも「顧客の用事を解決しろ」というプロダクト開発の基本を教えてくださってから一体何年経っているというんだ。「買ってほしいから売る」んじゃない。順番が逆なんだよ。

まずは顧客にとって、他でもないお前の売っているそれが一体何の役に立つのか言ってみろ。その後でその根拠をわかりやすく具体的に述べろ。そしてそれが過去現在未来においてずっと真実だと、真実にし続けると誓え。それがブランディングだ。頼むよ。

 

 

イノベーションへの解 利益ある成長に向けて (Harvard business school press)

イノベーションへの解 利益ある成長に向けて (Harvard business school press)

 

 

「五輪でボランティアで働いてくれるエンジニア4万人」の費用を計算してみたよ!

japan.zdnet.com

まずは、サイバーディフェンスを担うエンジニアを育成するための予算を獲得する。そこで育成されたエンジニアが2020年に開催される東京五輪の開催期間中の1カ月間でもいいから、ボランティアで働くという仕組み

なるほどなるほど。 

 

じゃあその「サイバーディフェンスを担うボランティアエンジニアを育成するための予算」は具体的にいくらぐらいになるのかな?計算してみましょう!

 

まず、純粋な学費を考えます。ここは情報系専門学校の学費が参考になるかな?

www.neec.ac.jp

例えば日本工学院のITスペシャリスト科(4年制)。4年間の学費+教材費は

4,689,200円(納入金)+83,000円(教材費)*4 = 5,021,200円

ざっと500万円ですね。

次に生活費。就学期間中の4年間は学業に専念して頂くために生活費の保障も必要です。寮など用意せず純粋に単身者が生きていくだけの費用として、額面で月20万円くらいがギリギリのラインでしょうか?

20万円*12か月*4年間 = 960万円

生活費と学費を合計すると

500万円+960万円 = 1460万円

これがひとり当たりの育成にかかる金額です。

 

これを最終的に4万人のエンジニアを育成するべく投入するのですが、最初に教育を開始したド素人全員が無事サイバーセキュリティの大先生になるとも限らないでしょう。この業界は厳しいのです。控え目に見て脱落率は20%、使い物になるのは全体の80%くらいかと思います。

なので1460万円は脱落率を考慮し、5万人くらいに対して投入されるものとします。

1460万円*5万人 = 7300億円

これが、1ヶ月間4万人のセキュリティエンジニアにボランティアをして頂くのに必要な金額です。

 

うーん……なんか最初ッから世界中の優秀なセキュリティエンジニア4万人に1460万円払って半年くらい来ていただく方がはるかに種々のコストが安くつくような気がしてきましたね。

まぁそもそも、オリンピックまで使える時間があと4年もないんですが……

 

こちらからは以上です☆

追記

「脱落率が間違っている、そっちが80%だ」とのご指摘を複数受けました。す、すみません。ただちに計算をし直しますね(> <)

脱落率が80%の状態で4万人のエンジニアを確保するには 4万人/(1-0.8) = 20万人 の志願者が必要であり、上記予算の総額は

1460万円*20万人=2兆9200億円

となります。わーお、国立競技場がもっと建てられるんじゃない?

 

なお、専門学校出たての新人4万人とベテランのハイスキルエンジニア40人だと後者の方がよほど戦力になるとの試算も有識者の賛同を得たので、こちらの場合の予算も計算もしておきます。

1460万円*40人=5億8400万円

 

……うん、素直に普通にお金払えよ!!

 

こちらからは以上です。

 

2時間で書ける!職務記述書の作成方法

タイトルは釣(ry

lafrenze.hatenablog.com

このエントリで「職務記述書(Job description)を書こうよ!」という話をしたところ、割と多くの方から

「職務記述書って何、初めて聞いた。どうやって書くの……?」

「全員の合意を取るなんて無理ゲーじゃん、意見調整どうするの?」

などというご質問をいただいたので、本稿では職務記述書をチームメンバー全員でよってたかってざっくり書く方法を解説します*1。さすがに純粋に2時間だけできっちりした職務記述書のすべてを書いてしまうという訳にはいかないですが、この方法を使えば一番難関のスキルセット一覧を書き出す作業が短時間でできますし、全員を一度に拘束するのも2時間くらいで済むかと思います。

このやり方が向くのは以下のようなケースです;

  • 初めて職務記述書を書くけれど、どうすればいいかまったく見当がつかない
  • そこまで厳密なものでなくても構わないけれど、今後の話し合いのための叩き台が欲しい
  • 今後の採用や人材育成の方針について関係者の意見を聞きたいけれど、とっかかりが解らない

用意するもの

  • 職務記述書の作成に関わってほしい人々(10人未満がやりやすいです)
  • 職務記述書の作成に当たって音頭を取る特定個人(多分あなたです!)
  • 会議室
  • 大判サイズの付箋 ×3色 ×人数分

大体このくらいのサイズがあれば十分かと思います。

  • サインペン
  • ホワイトボード×3面、あるいは模造紙3~6枚
  • ホワイトボード用のペン、あるいはマジック
  • 上長、あるいはチームリーダーの同意

下準備

これは職務記述書を実際に書き始める2、3営業日前の朝にやるのが一番いいかと思います。

作成に参加してもらうメンバー全員に、職務記述書とはいったいなんであるか、何のためにこれを作るのかを説明し、理解してもらいます。

  • 採用のため
  • 今後の人材育成のため
  • 他部署との円滑な連携のため

などなど、職務記述書を作成する理由はそれぞれあるはずです。自分の状況に合った理由を説明します。

そして全員に3色の付箋を配布し、

  1. この業務を担当するにあたって、新人研修が終わるまでに習得できていなければ即日で死ぬような大前提となる必須の知識・技能
  2. 配属直後にはなくても構わないけれど、早いところこれを習得しておいてもらわないとちょっと一人前という訳にはいかないんじゃない?という知識・技能
  3. 今後習得できれば実に素晴らしい、重要な戦力になれるような知識・技能

上記の1~3に付箋の色を割り当てます。そして1つの付箋に1つの知識・技能をサインペンで大きな文字で書いてもらうとして、それぞれにつき一人当たり5枚以上20枚以内*2を書いてもらうようお願いします。また付箋を書いてもらうにあたって、メンバー間での相談や意見のすり合わせはしないよう注意します。あくまで個人の考えに基づき、普段の業務の中で気づいたものをなんでも書いてもらいます。

ここで書く知識・技能は断片的でも構わないので、あんまり抽象度を上げないようにします。例えばグラフィックデザイナーであれば

「解像度について理解している」

と書くよりかは

「印刷物の入稿データに72dpiの画像を貼り込まない」

と書いた方がより良いです。日頃の恨みを込めて書き殴りましょう。

また、各付箋に誰が書いたかを示す記名は必要ありません。無記名でやります。

本番

職務記述書の作成はブレインストーミング-簡易KJ法形式で行います。ブレインストーミングを全然やったことがない、という場合は、以下のエントリが簡潔で参考になります。

効果的なブレインストーミング。あなたのクリエイティビティを限界まで引き出す方法 - shi3zの長文日記

実際に全員で職務記述書の作成に入る日の朝に、全員から付箋を回収し、あらかじめざっと目を通しておきます。そしてブレストが始まる直前のタイミングでそれらの付箋をホワイトボードか模造紙に貼り、1~3の各カテゴリごとに似た内容の付箋をまとめ、各グループに見出しをつけておきます。

どのようにまとめるかはとりあえずフィーリングで適切に決めます。例えば「印刷用データはCMYKで作成する」と「印刷用データにGIF画像を貼り込まない」は「カラーモードについての知識」とまとめられるかもしれません。また後者は「WEBサイト用に納品する素材は.psdのままではなく必ずWEB用画像に書き出す」と組み合わせて「ファイル形式の知識」とまとめられるかもしれません。

そして会議室に集まったメンバーにその付箋の集合体を見てもらい、まずは自由に30分間、雑談ベースで意見を述べてもらいます。この段階で付箋の移動やまとめ直しなどが発生する場合もあります。どんどんやりましょう。

次に10分間、その結果を踏まえて全員に再度付箋を書いてもらいます。この時も相互に相談などをせず、黙々と書いてもらいます。この段階でおそらく付箋に書かれる内容にはある程度の抽象化が発生しているはずです。

最初に付箋の束を貼ったホワイトボード、あるいは模造紙を崩さないように一旦撤去し、新しい真っ白なホワイトボードに再度新しく書いてもらった付箋を貼り、グルーピングします。この時、各付箋のグループの重要度を意識してグループを置く位置を決めます(例えば「解像度の知識」より「カラーモードの知識」の方が重要、など)。やはり30分間の時間をとり、全員で意見を出し合いながら配置を決定します。

この段階で全員がそれなりに納得するような付箋の配置ができたらひとまず目標達成です*3。やはり付箋を崩さないようにホワイトボード、あるいは模造紙を一旦撤去し、付箋の内容を新しいものに清書していきます。大体、以下のような感じで書けるはずです。

1. 必須の知識・技能

  1-1. 解像度について理解している

        ・入稿データに使用する画像の解像度に留意する

        ・媒体に応じた適切な解像度のデータを作成できる

        ......

  1-2.  著作権に関する知識がある

   ......

2. 基本的な知識・技能

  2-1. タイポグラフィに関する知識がある

  2-2. 案件にふさわしいカラーパレットを作成できる

   ......

3. 習得が望ましい知識・技能

  3-1. デッサン力がある

  3-2. 3Dモデルを作成できる...

 もし年齢や身長、視力等の身体的制限や業務遂行に必須の資格等があるならここでちょこちょこっと書き足します。この清書が完了したら、ここでひとまず職務記述書が完成です。

この後どうするの?

でき上がった職務記述書はグループウェアか社内WikiGithubの上などに置いておき、関係する全員がいつでもそれを参照し、必要な修正を行えるようにしておきます。職務記述書は生き物です。どんどん変更が加えられていくことを周知し、実際にガンガン変更しつつ運用していくことをお勧めします。

またせっかく作った物なので大いに活用していきましょう。具体的には

  • 採用時に求める人材像の要望リストとして人事部に持っていく
  • 新人研修の指針にする
  • 勉強会のテーマを選ぶのに参照する
  • 今後の部署内の評価基準や方向性を定める際の意見提案としてマネジメント層に見せる

といった使い方が考えられます。特にチームの外に対してなにか意見を通したい時に、ドキュメントになっているものがあると結構楽ですよ。アイデア次第で使い方は無限大だね!

幸か不幸か日本では雇用契約時の職務記述書が必須ではありません。だからこそ発生するデメリットもあるのですが、裏を返せばオレオレ職務記述書をチーム単位で作ってしまってもさしあたって大した問題にはならないということです。

「日本企業ではジョブ型雇用ではないから職務記述書の意義がない」という説もありますが、ジョブ型雇用ではなかったとしてもそれが各担当者のスキルや業務内容を可視化・共有しない理由にはならない、とわたしは思います。誰かの仕事を制限したり、あるいは誰かに仕事を押し付けたりするための職務記述書ではなくて、お互いがお互いの仕事に対する認識を共有し、よりスムーズなチームワークを進めるための道具として使っていっていただければと思います。

注意点

  • ブレスト成功の鉄則は「時間厳守」です。どうしても議論が長引く場合は別途場外乱闘の場を設けることとし、なにがなんでも一旦閉めます。
  • 「付箋が絶対」です。どんなに興味深い議論が口頭で行われたのだとしても、付箋に反映されていなければそのことは忘れましょう。
  • 声の大きすぎるひとに注意します。他のメンバーが発言できていない場合には、適切に仕切りましょう。

 

ではでは、可能であれば社外にも公開して頂けることを期待しつつ、当ブログでは職務記述書の作成を心より応援しております。

*1:本式の職務記述書はそのポストに必要とされる職責の範囲や待遇等を含み、それらを分割して記述しますが、そのためには経営層を交えた社内全体の調整が必要であり、最初からその製作を目指すのは現実的ではありません。本稿では実務担当者において実現可能性があり実用性も高いと思われる「日々の業務に求められるスキルセットの明確化」に注力して解説いたします。

*2:この辺りの数字は現実に応じて適当に調整をしてください。ただ、一人当たり20枚を超えると破綻しやすいように思います。

*3:もしこの段階で意見の終息が難しい場合は、もう一ラウンドやります。ただし、それ以上は日を改めることをお勧めします

神戸・三宮の日本酒飲み放題のお店「ニューキタノザカ」に行ってきました&テイスティングメモ

神戸・三宮の駅近くにある日本酒飲み放題のお店「ニューキタノザカ」が開店したので早速潜入してきた。

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お分かりいただけるだろうか……

お値段は2時間で2000円、時間無制限で3000円。お酒は完全にセルフサービスで、セラーから気に入ったお酒を取り出して好きなだけ注いで飲む。燗の道具や氷もあるので好きな温度でお酒を飲める。

飲料水は無限供給されるのでちゃんとお水を飲みながらお酒を飲むよう指示をされる。おつまみは持ち込み、階下のカキ料理屋さんから出前が可能。小皿とお箸、調味料は貸して頂ける。ガスコンロも貸してくれるとのことなので、冬は鍋ができるかも?

店内は小ぢんまりとしていて20人も入れないような広さ。お客さんのほとんどは男性だったけれど雰囲気がよく、女性だけでも問題なく入れる。

というどう見ても天国のようなところです、本当にありがとうございました。

 

写真だけでもお分かりいただけると思うけれど、品揃えがかなり良い。個人的にも好み。一体どんな魔法でかき集めてきたのか分からないけれどそれはさておきとして、デパ地下で揃えてきた美味しいお惣菜と共に色々飲んできた。最初に言っておくけれど、今回口に入った中で不味かったものや気に入らなかったものは当然ながら一滴もない。以下テイスティングメモ;

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1. 澤屋まつもと 純米

かけつけの澤屋まつもと 純米。すっきりとした甘口で飲みやすく、さすが。後味が残らない方なのでするすると飲めてしまう。おつまみの必要を感じないが、食事と喧嘩するような味ではない。

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2. 梵 純米大吟醸 艶

梵のブルーボトルになにかつける難癖があるというのか?美味しくて涙が出る以外の言葉がない。天使が舌の先を蹴って去るような後味で、このすっきりさが恨めしい。淡い味わいで、口の中に他に何も入れたくなくなる。

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3. 新政 純米 エクリュ

前2つにくらべるとこれははるかに食中酒らしい。柑橘類を加えたような爽やかな香りと風味だけれど、味自体に酸っぱさはない。すっきりと夏らしく、お刺身やたたきに合う味わい。この洒脱さは実に新政らしい。

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4. くどき上手 純米大吟醸 出羽燦燦

出羽燦燦という文字列を見たら飲むという誓いを立てているので早速頂く。好みよりかは辛めだけれど温かみのある香りが口内に広がり、辛さが気にならない。後味もあまり残らず、飲みやすく食中酒向き。燗立ちもしそう。

5. 笑四季黒(生)

邪魔にならない美味しさでスルスル飲めてしまう。意識しないんだけれど気づいたらグラスが空になっている危険な味。これもまた食事の邪魔をしないのだけれど、でも何かを食べるよりつい無意識にこっちを口に運んでしまうのだよね。

6. くどき上手 純米大吟醸

出羽燦燦でないくどき上手。甘口で美味しく好きなタイプだけれど、大吟醸というには大分存在感があるしっかりした味わい。ただもちろん厭らしさはなく、上品な後味は大吟醸のそれ。

7. 蒼空 雄町おりがらみ

雄町のにごり。匂いが結構辛そうなんだけれど味はそういうことはなく、飲みやすい。初夏のにごりは爽やかで美味しいので、脂が多かったりちょっとねっとりした肴に合わせるといいと思う。

8. 小布施ワイナリー ソガペール ヌメロシス

なるほどこれがライスワインかーと思える、食事との合わせ方という点で白ワイン感覚で飲めるお酒。割と辛めだけれど気にならず、すっきりしていて実に食中酒向き。シーフードをたっぷり使った南仏料理に合わせてみたい。

9. 菊勇 三十六人衆 あらばしり

甘くて温かみのある味わい。これも冬に鍋と一緒に飲むといいかも。

10. 東洋美人 ジパング

本当に大吟醸なのか?と疑ってしまうほど濃厚な存在感。でも味わいの上品さは大吟醸のそれ。飲みごたえと満足感がある。

11. 仙介 特別純米

勧められて頂いた一本。食中酒向きの味わいだけれどつまらないところはなく、普通に美味しい。色んな食べ物との取り合わせを楽しめそう。

12. 東一の何か

記憶には残ってないけれど記録にはあるから多分飲んだのだとは思う……辛めだけれどそれ以上に濃厚で酸味もなく、単体で楽しめる味わい。

 

他にも飲んだようなのだけれど、メモがバイオハザードの日記かダイイングメッセージみたいになっていてこれ以上は判読できなかった。なんともったいない……今度またリベンジしたいと思います。

 

「察してほしい」の取扱説明書

※ 発言は個人の感想であり全く汎用性のない記事です。主語は最小です。「あっこれ自分には関係ない」と思ったらそっ閉じを推奨します。

 

Twitterでつらつら呟いていたら物珍しがられたので、まとめを書きます。

 

わたしはかなりの察してちゃんです。面倒くささにはちょっと自信があります。わたしの思っていることを察してほしいと頻繁に思っている部類の人間です。

ですが「察してほしい」とは「わたしの頭の中にある正解を言い当ててほしい」という意味ではありません。何か具体的に頼みごとがあるならその通り言います。わたしが「察してほしい」と思う時に求めていることは「一生懸命労力を使ってわたしの考えていることを察するべく努力してほしい」というものです。その結果としてどんなにとんちんかんな結論を出したとしても構いません。一生懸命わたしのために労力をつかってくれたという事態そのものを喜びます。結果ではなく、過程を求めています。

だから、「一生懸命君の考えていることを察するべく頑張った」という過程を見せて欲しいのです。黙ってなにか考えられていたところでボケっとしているだけなのか何か考えているのかは分からないし、そもそも真の思考とは自分ひとりで完結するものではありません。自分一人の脳内だけでああでもないこうでもないと妄念をこねくり回していても、それは一生懸命考えた内には入らないです。それは知的怠慢というものです。ちゃんとした思考には、それなりのプロセスがあります。

 

以下に2つほど例を挙げます。

 

「何食べたい?」に「うーん……何でも」と言われた時の対処思考

「何食べたい?」と聞かれて、わたしが「うーん……何でも」と応える時は、世の女子がそうであるらしいように「わたしが何を食べたいかを察してほしい」と思っています。つまり「わたしが何を食べたいかを一生懸命考えてほしい」と思っています。

わたしがなにを食べたいかを一生懸命考えるための理想的なプロセスは下記のように進行します。

1. 選択肢を絞るために手掛かりとなる情報の収集

この世に食事の選択肢なんて無限にあるのだから、まずは選択肢を絞らなければはじまりません。ヒアリングによって選択肢を絞るための情報を収集します。

まず食事に対するコストについて、下記のような質問が考えられます。

  • 家でご飯を食べたいか?外食をしたいか?
  • 近場がいいか?遠くがいいか?
  • すぐに食べられるものがいいか?時間をかけてゆっくり食事をしたいか?
  • 予算はどの程度か?

次に食事の嗜好について、下記のような各評価軸が考えられます。

  • さっぱりしている - 脂っこい
  • がっつり食べる - 軽めに食べる
  • 肉が多め - 野菜が多め
  • 温かい物 - 冷たい物
  • 和食 - 中華 - エスニック - インド - イタリアン - フレンチ - スペイン - トルコ 
  • エレガントなお店 - カジュアルなお店

これらの軸の選定と評価にはSemantic Differential法が使えると思います。フワッとした主観を評価するのによく用いられる方法ですからぜひこういう場面で活用したいですね。

これらの情報を、わたしとの対話によって収集してもらいます。これで大分選択肢を絞る手がかりが得られました。

2. 選択肢そのものの選出

上記の手続きによって選択肢を絞る手がかりは得られたものの、この段階での情報はあまりに漠然としすぎています。「さっぱりした和食で温かい物をゆっくり食べられる、そう遠くないお店で外食したがっている」といった程度の情報が得られたところで、特に都会なら該当する店舗が200件以上はあります。もうちょっと確実性の高い選択肢を得る必要があります。

ここで情報収集は次のターンに移行します。具体的には、わたしの食べログTwitterはてブ等で「行ってみたいレストランのリスト」に入れていたり、以前に「行きたい!」とつぶやいているお店のリストを収集してもらいます。

わたしは食べログのリストやTwitterアカウントを公開しており、twilogにも登録しています。それらを確認したり "行ってみたい" で検索したりすれば、わたしが興味を持っている飲食店の一覧が取得できます。その中から、前項で判明した条件を当てはめればかなりいい感じの精度で「わたしが今行きたいだろうお店」を推察できるはずです。

上記のような過程を踏んでもらった後に選ばれたお店が、例え実際はわたしの気分にぴったりではなかったとしても、とても嬉しいです。「わたしのためにここまで色々考えてくれたなんて……!」と大感激し、「ありがとう☆そこにいこっ///」となるのは確実です。

 

次はもうちょっとやっかい目の例を挙げます。

 

「何を怒ってるの?」「それくらい自分で考えて!」と言われたときの対処思考

世の女子がそうであるらしいように、わたしも第三者からは一見分からない理由で不機嫌になります。そして「なんで怒っているかくらい自分で考えて!」というような態度をとったりします。

(ちなみに「お腹が空いている」「眠い」「その他怒りをぶつけられている相手には全く関係のない理由で不機嫌」などと言った場合にはこのような態度はとりません。その場合は正直にそう申告します。したがってなんで怒っているかくらい自分で考えて!」というような態度をわたしに取られた場合、ほぼ確実に自分に原因がある(とわたしは思っている)と考えて頂いて構いません。)

この場合の原因究明のための理想的な思考プロセスは以下のようなものです。

1. 簡単に特定できる原因を潰す

このような場合、まず自分がなにかを忘れたりすっぽかしたりしていないか?の確認が最優先です。これらの情報は簡単に確認しやすく、先に潰しておくことで問題の拗れを防ぐことができます。具体的には

  • なにかの予定や記念日をすっぽかしていないかカレンダーを確認する
  • 頼まれていた用事を忘れていないかを確認する
  • メールやLINEの返信し忘れがないかを確認する
  • 髪型の変化や新しい服を着ていないかどうかを確認する

といったことです。全部合わせても5分とかからずに確認できることであり、原因が分かったらその場で解決ができます。どうしても自信がない場合は「ごめん、もしかして何か忘れていることがある?」と聞くと完璧ですね。

2. スコープを特定する

すぐに分かる簡単な問題が原因でなかった場合、原因となる事象が発生したスコープを特定します。例えば

  • それはいつ発生した事象が原因なのか?
  • 今回が初めてか?それとも以前にも同様の事象が起こったか?
  • 繰り返しの事象の場合、頻度はどの程度か?
  • 以前にも同じことを注意したことがあるか?
  • それは言動に関することか?あるいは振る舞いに関することか?
  • 第三者の関わることか?関わるとしたらそれは誰か?
  • 金銭の絡む問題か?
  • 社会慣習や礼儀作法に関する問題か?

といった事柄です。これらを確認すると「昨日初めて紹介された友だちに何か不躾な言動をしたことが原因らしい」とまでは特定できるはずです。この段階で思い当たることがあるなら、もう解決はすぐそこです。

3. 賠償案と再発防止策と併せて解決に臨む姿勢を見せる

ここまで特定できてもどうしても原因が分からない・思い当らなかった場合、素直に「ごめん、~~~が原因だとまでは思うんだけれど、どうしても心当たりがない。理由を教えてくれる?」と聞きます。最初から「えーなんだよ、むくれてないで言えよ!」と言われるのとは違い、色々と原因究明の努力をしてくれた上での質問ですから、さすがに面倒くさい性格のわたしもこれ以上引っ張ったりはしません。この時点で大分気持も態度も軟化していますので、素直に理由を話します。

ただ、ここで理由を聞いて「そのことかーごめん!」と言われただけでは納得ができません。賠償と再発防止策をセットで提案してもらいたいと思います。例えば

  • 目の前でカレンダーやTODOリストに登録する
  • お詫びの印に美味しいケーキ屋さんに連れていく

といったことですね。謝罪と賠償と再発防止策はセットです。3つで1つです。

 

ここまでして頂いたら「こっちこそ色々考えてくれてありがとう、なんて誠実なひとなの……///」と思えるので、機嫌が直るどころか好感度も寛容度も増しています。

 

まとめ

つまるところ、わたしが求める「一生懸命な推察」は、わたしに対する情報収集なしには成立しません。わたしに何一つ質問しないまま脳内でああでもないこうでもないと考えるのも、わたしに明示的かつ具体的なただひとつの回答を求めるのも、どちらも知的な労力をケチっています。わたしが察してほしい時は労力そのものを求めているので、どちらの対応もわたしの望まないものです。「何かしてほしいことがあるならはっきり言え」と言われましても、言われたことだけしかやらないロボットと付き合いたい訳ではありません。

もちろん非公開情報を手掛かりにしろなどとムチャクチャなことは言いません。わたしは可能な限りライフログを公開し、質問に回答しています。Facebookのようなログ収集が困難なSNSも使用していません。脱出ゲームのごとく、労力をかけ頭を使えば必要な情報はすべて収集できるようにしてあります。ここまで下準備しているのだから、後はちょっと頭と手を動かしてくれればいいだけです。

ただこうしたプロセスを成立させるための省力化や自動化は大いに歓迎します。例えばわたしのTwitterで「行きたい」や「欲しい」という言葉が含まれるTweetを自動収集するスクリプトを作成したり、些細な予定でもすぐカレンダーに自動登録するよう設定したり、あるいは一度表明した不満を管理するためのBTSを導入したりといったことはとても嬉しく思います。「わたしのためにRedmineまで立ててくれるなんて……!」と泣くほど感激します。個人的にはTrello+Slackでたくさんだと思っていますし、そもそもやってもらったこともありませんけれど。

 

ちなみに、なんでわたしがこのような面倒くさい過程を求めるかというと、愛とは骨身を惜しまないことだと思っているからです。少なくともわたしは普段から相手の求める物を上記のようなプロセスを踏んで一生懸命考えるよう努めているので、偶には相手にもわたしのために脳味噌を使ってほしいのです。いつもとは言いませんが。

恋人や配偶者に向かって無限の徒労を求めるのはもちろんクソです。でも例えば職場で上司やクライアントに対して日常行っている心遣いの1/16でも自分に向けてほしいと思うのは、それほど無理筋な要求ではないと考えています。いつも仕事が忙しいの一点張りでちっとも構ってくれないのだから、偶には少しくらい甘えてもいいではないですか。

普段は優秀な社会人なんだから、お仕事ではこれくらいやっているんでしょう?顧客から要求仕様を聞き出したりクレーム対応をしたりする労力に比べたら、こんなもの取るに足らないと思いますけれど。

 

 

技術分からないCEOのアタシが考えるイケてるCTOの条件

※発言は個人の感想です。


わたしがCEOなのは本当です。いわゆる創業社長ってやつで、なし崩し的にCEOになってます。技術が分からないのも本当。また弊社は大企業でもなければIT企業でもないので、大企業だのIT企業だののCTOの場合はまた話が違うのかもしれません。まぁそんなの、究極的には各社それぞれケースバイケースですよね。
ただイマドキ、どこの会社も業務システムを使っているし外部向けのWEBサイトくらいあるでしょう?オンラインマーケティングだって少なからずやっているはずです。だからITと無関係な企業ってのもないんじゃないかなぁ。


そんなわたしがCTOに求める役割は
「経営課題のうち技術によって解決できるものを見つけ出し、解決してほしい」
です。
あ、念のために言っておくと、こういう文脈で「~してほしい」というのはモヤッとした個人的要望ではなくて、社として負ってほしい職責を指します。だから職務記述書に書くとするならば
「CTOは経営課題の技術的な解決に責任を負う」
という記述になりますね。

それと、CTOというのが実際に社内/社外、法的にどのような存在なのかは

wadap.hatenablog.com


こちらの記事に詳しいです。マジでこれくらいは前提として理解しておいて頼む。


さてここから先は話を平和にするためにエビ料理レストランに例えて話をします。;

丸の内エリアにエビ料理レストランを新しく出店することにしました。各種の貴重なエビをメインにしたオシャレなレストランですが、ランチから気取らないディナー、ちょっとしたパーティーまで、シーンを選ばず幅広くお使いいただける感じのお店です。
一番のウリは何といってもエビです。単なる高級なエビというだけではなく、世界中から四季折々の珍しいエビを使って、それらの美味しさを最大限に引き出したお料理やお酒を提供します。あのエリアにそこまでエビにこだわったお店はないし、日本人は世界一エビが好きな人種です。
これはイケる!!!!

プランを作り出資を募ったところ、幸いにも素敵な出資者が現れて問題なく資金も店舗も用意できました。開店準備は完璧です。ただ問題は、わたしは全ッ然料理のことは分からないしエビ料理なんてできません。エビ自体は大好きだし食べる方にはかなりの自信があって、我ながら武藤鶴栄氏に勝るとも劣らない目利きだと思っているんですが……だから総料理長を募集することにしました。
それなりの待遇で募集をかけたところ、以下の3人が応募してくれました。

  1. 某三ツ星ホテルのレストランで20年間料理長をしていたベテランシェフ。志望動機は「そろそろ新しいことをしたいから」
  2. 隠れ家系でお客様を選ぶようなエビ料理店(1日5組まで、完全予約制で半年待ち)の元オーナーシェフ。志望動機は「色々あってお店が人手に渡ることになり(ry」
  3. 気鋭の天才エビ料理シェフ。志望者の中では一番の若手だが独創的な料理で知名度が高く、数々のメディアに登場しており著書も数冊ある。ネームバリューは現時点でトップ。志望動機は「自分のお店を持つ時期かと思って」

それぞれにエビ料理を作ってもらったところ、いずれもごく基本のエビフライから名状しがたい独創的な料理まで完璧な腕前です。腕前に甲乙を付けるには岩崎民次氏にお越しいただく必要があるレベルです。


あなたならこの3人のうち誰を採用しますか?それを決めるためにここに挙げた情報以外に必要なものがあるとしたら、それは何ですか?

 

 

わたしが総料理長に現時点で求める仕事は以下の通りです。

  • 他の腕の立つシェフを採用してほしい
  • お店のコンセプトに合ったメニューを決めてほしい
  • 総料理長として他のシェフを取りまとめ、厨房を使いやすくセッティングしてほしい
  • その他、お店を流行らせるために気づいたことがあったら教えてほしい
  • 以上のことを、資金計画を理解しそれから逸脱しないようにやってほしい

また、実際にお店を運営していく中で以下のような問題が発生することもあります。

  • 今週メインに出す予定だった三重県産セミエビが不漁で半分しか確保できなかった、どうしよう?
  • そろそろ旬のゾウリエビをメニューに加えたいがゾウリエビを調理できるシェフが見つからない、なんでだろう?
  • テレビ出演が決まったので放映後しばらくは普段の倍の来客数が見込まれる!対応できる?
  • 秋のパーティーにどうしても国産クルマエビを出してほしいというお客様がいるけれど、季節が合わないよ!


これらの問題が果たして「技術的課題」なのかそうでないのかを弁別するのは実際にはとても難しいことです。メニューはもちろん技術的課題ですが、マーケティング上の課題でもあります。流行るとか流行らないだなんてのも広告宣伝に関する部分が大きそうです。また例え技術的課題なんだとしても、それを解決するための資金がが足りてないならばできることは限られます。そして不漁は総料理長の責任ではないし、採用も「そもそも応募してこない」という問題ならば「もっと給料上げろよ……」といった解決策しか思いつかないでしょう、普通は。

でもねー、そこをお客様気分でいられたくないのよ。「ここからここまではCTOである俺の仕事、ここから先はCEOであるお前の仕事」なんてサッサと決めつけてしまうようなCTOでは困るんです。
役割分担を否定している訳ではないんです。ただ、「自分の問題」として考えてほしいんですよ。


例えば、三重県産セミエビが不漁であれば「すみませんあれはナシになりました!」と謝罪広告を出すのも解決策の一つです。少なくともわたしだけがこの問題に対応しているならば、正直言って他の方法が思いつきません。ただ各種の修羅場をくぐり抜けてきた経験豊富なシェフならば

  • 以前に試したことがあるが、食味の似るコブセミエビを併せて仕入れられないか?
  • 宮崎県産のセミエビを確保できる仕入れルートを知っているが、それを使えないか?

といった解決策を提案できるかもしれません。

また、ゾウリエビが調理できるシェフを確保できない理由について、わたしならば「おちんぎんが少ない所為……?でもこれ以上お金出せないし(;_;)」以上のことは考えられないのですが、料理人コミュニティに関する知識が豊富なひとならば
「あれは美味だが漁獲量が少ないために経験のあるシェフが少ない。ウチワエビに構造が似ているので、ウチワエビを調理できるシェフを探して少し再教育したら何とかなる」
と分析してくれるかもしれません。

限られたマーケティング費用の中でお店を流行らせる施策について、技術とは直接の関係がなくても、周辺領域の知識があるならば
「あのグルメ雑誌は読者数はそう多くないんだけれど、レストランに詳しくて口コミの影響力がある人が多く読んでいる。何度か取材を受けたこともあるけれど、記者もとても知識があってしっかりしているんだ。記事広告を出すならあの雑誌がどうかな?」
という情報をくれるかもしれません。


わたしひとりでは、色んな問題に対して「詰んだ……!」と頭を抱えてしまうんです。ひとりだけで考えられる解決策の幅には限界があるからです。
たとえその案が最終的な解決にならなかったとしても、専門家として異なる視点から一緒に考えてくれるひとが欲しいのです。

 

他にも、色んなことを話し合っていきたいです。例えばわたしが「会社員向けの平日ランチメニューとしてイセエビの殻つきコキーユを出そう!」と言い出したら、「お前コキーユを一つ焼くのに何分かかると思ってるんだ?目を覚ませ!」と言ってもらいたいです。
また総料理長が「セミエビとアブラゼミのフリッター」とかいう料理をメニューに加えようとしたら、わたしは責任もって「そんなもの食いたい客がいる訳ないだろう食べログになんて書かれるか分かってるのか?目を覚ませ!」と言います。
テレビの取材で緊張して変なことを口走り批判Tweetが殺到してるって?大丈夫わたしに任せて!炎上対応ならちょっと自信あるんです。

相手が困っていることは何でも相談してほしいし、わたしも何かあったらどんどん相談します。


世の中に経営陣の心構えを説いた経営指南書はたくさんあります。ただCEOはアレをやれ、CTOはこれだけやっていればOK、などという切り口で指南している本は見たことがありませんし、おそらくないはずです。現実の経営は複雑で、かつ目まぐるしいスピード対応を求められる戦場で、「これはアイツの仕事だから~」などと言っていられる余裕はないからです。それぞれに専門性を持った多様な人材を経営陣に備え、それぞれの得意分野で精いっぱい能力を発揮して頑張ろう、というのはアリだと思うのですが、各タスクの完全な切り分けはできないでしょう。*1

ぶっちゃけねぇ、CEOになるとかCTOと呼ばれるとか、結果ですよ結果。
それは「経営責任者の中で主にそっち方面を担当するヒト」に与えられる便宜上の称号でしかないです。


弊社としては、CTOには技術者として十分な見識と腕前があるなら、それ以上の"能力"は求めません。ただ、とにかく同じ方向を向いて話し合えるひとがいいな、と思います。

*1:その辺の話は「経営の未来」が非常に示唆に富むので、興味ある方はぜひどうぞ。